不倫
僕は仕えてもう5年になる上司が好きなのである。好きと言ってもおっさんずラブな世界ではなくて、人間的に尊敬しているという意味での「好き」だ。万年平社員で出世に見放されている僕にとって、同年代であそこまでのし上がった上司は尊敬に値する。僕が女性ならば間違いなく上司に抱かれたいと思うだろう。
しかし、僕はゲイではない。その証拠にれっきとした奥さんがいる。勢いで学生結婚した僕たちだが、いざ夫婦になると何ともつまらない関係だった。まあ、僕のような底辺の男性には、底辺の女性しか寄ってこないのだろうなと感じるに相応な愚痴と文句にまみれた奥さんである。あげまんと言う言葉はある意味真実だろう。レベルの高い女性に見初められた男は、きっとその女性のレベルに引き上げられるのだと思う。
だから、上司の奥さんと不倫したいと考えるようになった。ビジネスに厳しく正確な上司である。彼に認められて婚姻を交わしたのだから、奥さんは相当なレベルのはずだ。ただ、実際に上司とは家族ぐるみの付き合いで、奥さんとも面識はあるのだが、至って普通の人なのだ。外見だけならば、うちの奥さんと変わりはない。上司のレベルならばもっとべっぴんさんを娶れたと思うのだ。だからこそ、奥さんと不倫したいと思う。外見からは想像がつかない、男を見極めて引き上げる能力を持っているはずである。
こうして、僕の上司の奥さんと不倫したい計画は始まった。もちろん、直接的に口説いたりはしないし出来ない。そこでまずは何とかSNSでつながりを持ち、上司の目を盗むようにしてくだらない会話を欠かさないようにした。狙いは来月にある上司の北海道出張の時だ。不在時に「独りでお寂しいでしょう」とか何とか言って飲みにでも誘えたら僕の勝ちだ。
そして、上司の海外出張の日が訪れた。しかし、結局、僕は上司の奥さんを誘い出すことはできなかった。それどころじゃなかったのだ。上司が海外に飛び立つと同時に僕の奥さんが行方をくらましたのだ。僕の奥さんが上司が独りになる北海道出張のタイミングを狙って、同じように北海道に旅立ったことを知ったのは後の話である。今ではなぜか彼女は上司の奥さんになり、かつての上司の奥さんは僕の奥さんになっていたりする。ただし、僕が出世することはない。
セックスしたい
オフパコしたい